泣き言を言ってる場合ではない。
多くの尊い命が奪われた今年の台風や地震、オキオリーブのオリーブ農園も100本以上のオリーブの木が倒されたけど、命だって家だってちゃんと残ってる。やるべきことをやるだけのこと。
もともとオリーブの生まれ故郷はヨルダンやシリアといった地中海諸国、とても雨の少ないその場所では、オリーブの木は水を求めて地中奥深くまで根を強く張っていくもの。一方、わが日本国は温暖湿潤気候のとても雨の多い場所。そんな中で育つオリーブはそんなに根を張らなくても十分な水が得られるから、地中深くまで根が伸びていかない。そこへヨーロッパにはない台風のような強い風が吹くと、ひとたまりもなく倒されてしまうのだ。
毎年この時期は倒されたオリーブの木を一本ずつ丁寧に起こしていくのが、オリーブ農家の試練のお仕事。当然、根が傷んでいるので、そのオリーブは生育が遅くなる。起こして直せるのはまだいい方で、中には根こそぎ吹き飛ばされてしまって、その一生を終えてしまう木もある。今回の台風でも3本ばかりはその4年の短い一生を閉じてしまった。これは本当に堪える、わが子のように大切に育てたオリーブの木、時に優しく、時に厳しく接して、その強い成長を見守ってきた大事な子供たちの命が奪われた姿を目の当たりにすると、心が張り裂けそうになる。
乗り越えないといけない。前を向いて。もうすぐ始まる収穫の喜びに、自然に対する感謝の気持ちをいっぱいにもって。