前回は必ずしもグリーンのオイルが良いオイルだとは限らないというお話をしましたが、やっぱり「グリーン=新鮮」というイメージはあるため、一部の生産者は何らかの方法でグリーンな色を出したいと思っています。もっとも王道なのは果実がまだ未熟で青い段階で搾ることなのですが、第一話でお伝えした通り、若く未熟な果実からはほんの少しのオイルしか搾られないため、とてもコストが高くなってしまいます。
では次にどうするかということ考えます。
グリーンなオリーブオイルのその鮮やかな色の正体はクロロフィルの成分です。だったらクロロフィルを足してやればいいじゃないか。で、クロロフィルはどうやったら足しこめるかって考えたら、とてもいいものがありました。
クロロフィルとは葉緑素、読んで字のごとく葉っぱの色素なんです。
だったら簡単、オリーブオイルを搾る時に葉っぱも一緒に入れてしまえばいいのではないか。うまいこと考えたものです、果たして結果はきれいな緑色のオリーブオイルが搾られてきました。いいオリーブオイルはピリリとした辛みや苦みが特徴なのですが、葉っぱにはその苦みや辛みもたくさんあって、一石二鳥!
ところが、そんな簡単にはお話は終わりません。
確かに濃い緑でピリッと苦みの効いた辛いオイルは出来上がりますが、その苦みは果実由来の爽やかで喉を突き抜けるメントールのようなスッキリしたものではなく、舌の上でビリビリと暴れる雑味のある苦み、あるいはエグみと言った方がいいくらいの、あんまり好ましくないものになります。
別の機会でお話しますが、オリーブの葉っぱの苦みは健康成分のオレウロペインがたっぷり、だから葉っぱブレンドのオリーブオイルは健康効果絶大。
でも、オリーブオイルは食事をおいしく頂くための食品であって、良薬口に苦しのお薬ではないですよね。
という訳で、最近では色を綺麗に出すために葉っぱを一緒に搾る生産者は減って来ました。葉っぱ由来のグリーンもまたクロロフィルだから、やっぱり紫外線に当たると退色して黄色くなるから、残るのは嫌な苦みやエグみだけで、いいことは一つもないからです。
でも、たまに透明瓶で店頭に並んだ驚くほどグリーンのオリーブオイルを見ることがあります。これはもう一体何が入っているんだか・・・。
グリーンだったオリーブオイルが黄色くなっていくのは自然なこと。10月の搾りたてのノヴェッロ(新油)の鮮やかなグリーンはその時だけの旬のもの。その収穫の喜びを目いっぱい楽しみましょう。そしてだんだん黄色くなっていくオリーブオイルを見ながら、季節の移ろいを感じ、次の収穫を心待ちにしたいですね。
ちなみに、鮮やかなエメラルドグリーンが持ち味の澳 OKI Oliveはできるだけその色を保つように完全遮光の真っ黒な瓶に充てんして、これまた温度管理の効いた真っ暗な倉庫で保管します。ここまでしてあげても、やっぱり少しづつ黄色くなっていくもので、夏を迎える7月くらいにはもう黄緑色といった色合いになってきます。